デジタル音声広告(オーディオアド)はご存知ですか?
デジタル音声広告の市場は、これからぐんぐん成長すると予想されています。
宅録ナレーターとしてのチャンスや、これからの可能性について解説してみました。
この記事を読めば、デジタル音声広告(オーディオアド)の可能性や、宅録ナレーターとしてのヒントが見つかりますよ。
デジタル音声広告(オーディオアド)とは
デジタル音声広告とは、その名の通り、音声による広告で「オーディオアド」とも呼ばれます。
アメリカでは近年、急速に拡大しており、GAFA(Google、Amazon、Facebook、Apple)も注目している分野のひとつ。
アメリカにおけるデジタル音声の広告収入総計はこちらです。
- 2017年:約1972億円
- 2018年:約2424億円
- 2019年:約2988億円
日本のデジタル音声広告市場はまだこれからですが、今後の成長が見込まれています。
- 2020年:16億円
- 2021年:50億円(見込み)
- 2025年:420億円(予測)
2021年現在、日本でデジタル音声広告を配信しているプラットフォームはこちら。
- Spotify音声広告
- radikoオーディオアド
- YouTubeオーディオ(音声広告)
- ポッドキャストオーディオアド など
デジタル音声広告の大きな特徴としてはこちらです。
- 人の声は感情を動かしやすい
- 制作コストが安く済む
- 動画よりも短い納期で作れる
- ながら作業でも聴ける
- ターゲットに適した広告を配信できる
それぞれ、簡単に解説していきますね。
人の声は感情を動かしやすい
デジタル音声広告の強みとして、「人の声は感情を動かしやすい」という特徴があります。
デジタル音声広告が狙う効果として
- 感情ターゲティング
- エモーショナルターゲティング
などの言葉で表現されることも。
インフルエンサーが商品を紹介する、いわゆるインフルエンサーマーケティングでは効果が薄かったものの、デジタル音声広告を流したところ、効果が高かった事例もあります。
このあたりは商品によって反応率は違いそう!
でもデジタル音声広告の有用性が証明されましたね。
「人の声が感情を動かしやすい理由」としては、脳の仕組みと関係があります。
音声や音楽は、脳の原始的な部位である大脳辺縁系に直接作用するため、感情にダイレクトに働きかける効果があります。
例えば、CMソングは耳に残るので、自然と口ずさんでしまいますよね。
効果的なSEやBGM、心地よい声により、いい印象を与えたり、記憶に残る効果も期待できます。
制作コストが安い、短い納期で作れる
デジタル音声広告をつくるうえでの最大のメリットはこちらです。
- 制作コストが安く済む
- 短い納期で作れる
動画広告を制作するよりも、コストは安く、短い納期で完成します。
- コピーライター:原稿を作成
- 宅録ナレーター:収録
- 編集(SE、BGMなど)
このステップだけで、デジタル音声広告が出稿できてしまいます。
つまり、何パターンか作って反応を見る、いわゆるABテストがしやすいのですね。
例えば、テレビ局では驚くほど大勢のスタッフが関わりますが、ラジオ局では少人数でも番組を制作できます。それと同じですね。
確かに文化放送でも、スタッフさんは少数精鋭だった…!
デジタル音声広告では、凝ったSE(効果音)もBGMも不要。
むしろ凝りすぎた音は邪魔になり、逆効果であるため、比較的シンプルな音声広告が多くなっています。
デジタル音声広告(オーディオアド)はスキップされにくい
また、デジタル音声広告は、動画広告に比べて、スキップされにくいのも大きな特徴。
例えばYouTube広告の場合、動画の続きが観たいので、興味がなければ、なるべく早くスキップしますよね?
ちびっこですら「広告をスキップ」を押して、続きを見てるもんね…
デジタル音声広告の場合は、作業しながら聴いているユーザーが大半です。
そのため、わざわざ「広告をスキップ」という動作をしないのですね。
- radiko:スキップされにくい
- Spotify:スキップ機能がない
ちなみにradikoオーディオアドでは、完全聴取率98%というデータがあるのだとか。
詳しくは、下記の記事をご覧くださいませ(外部サイトに移動します)。
配信ターゲティングができる
また、デジタル音声広告は、他のWEB広告同様、「配信ターゲティングができる」のも特徴。
配信したいユーザーの条件を指定して、広告を届けることができるのですね。
ユーザー条件とは、例えばこういった項目です。
- 年齢
- 性別(男性、女性)
- エリア(国、県、都市ごと)
- その他(時間帯、天気ほか)
- その他、属性
これらを設定する事で、より「刺さる」ターゲット層に向けて、デジタル音声広告を配信することが可能です。
また、既存のデジタル広告の効果を高める活用法も、注目されています。
「オーディオアドを聞いたユーザーにバナーを配信した場合、クリック率が上がった」という結果も。
デジタル音声広告を聞いたユーザーが、あるサービス(商品)に興味を持ったとしますね。
例えば、旅行が好きな20代女子が、お得な海外ツアーの広告を聴いた場合。
へえ、お得でいいかも。
気になるなー。
そう思った所へ、その旅行会社のバナー広告が表示されたら、クリックして詳細を見てみたくなりますよね。
このように、デジタル音声広告を、既存のWEB広告と組み合わせることで、高い効果が期待できます。
デジタル音声広告だけでなく、音声メディア自体が熱い
今、デジタル音声広告だけでなく、音声配信そのものに注目が集まっています。
日本で一時期、ぶわっと広まった「clubhouse」は音声によるSNSでした。
「clubhouse」をきっかけに、その他の音声配信メディアも活気づき、アクティブユーザーが増加しています。
- Apple ポッドキャスト
- Google ポッドキャスト
- Spotify
- Voicy
- ヒマラヤ
- ラジオトーク
- StandFM
- spoonラジオ
- Radiko など
Voicyは2021年1月は30%、2月は60%伸びたとのこと。
詳しくはぜひボイシー代表の緒方憲太郎さんの著書「ボイステック革命」もご覧くださいませ!
音声メディア配信が伸びた、主な理由はこちらです。
- 作業しながら聴ける
- 人と会う機会が激減し、人の声が恋しくなる
- ワイヤレスイヤホンの普及(AirPodsなど)
- 動画より時間と手間がかからない
コロナをきっかけに、リモートワークや在宅ワークが増え、人との接触頻度が減ったりと、「ちょっとした雑談」もしづらくなりました。
なんか人恋しいというか、人の話し声を聞くとホッとする…!
また、今まではYouTubeで発信していたインフルエンサーの一部が、音声配信(主にVoicy)へと流れつつあります。
そんな様々な背景により「音声の良さ」が再認識され、音声配信メディアの人気が高まっています。
音声配信メディア例:Voicy Biz
音声配信メディア例として、Voicyでは「Voicy Biz」という企業放送を作るサービスを提供しています。
Voicy Bizは、ボイスメディアVoicyの中に、音声のオリジナルチャンネルを持つことが可能なサービスです。
「Voicy」公式サイトより
要するに、Voicy内に自社のラジオ番組を持つイメージですね。
通常のラジオと違うのは、タイムテーブルではなく、ユーザーが好きなタイミングで聴けるという点。
自分の空いてる時に、自由に聴けるのは便利!
導入する企業の狙いとしては、
- ファンコミュニティ形成
- 新規チャネル構築
- 自社コンテンツ連携
- 自社サービスへの誘致
- ブランディング
などがあります。
自社のホームページやSNSだけではなく、ブランドへの想いや価値観を発信する場所をつくる。
そして、声というのは、文章よりも人柄や感情を伝えることができるため、よりユーザーに伝わりやすくなるのですよね。
これも立派な広報活動のひとつだなと感じました。
デジタル音声広告、宅録ナレーターとしてのチャンス
デジタル音声広告の普及は、宅録ナレーターとしてもチャンスだと思います。
というのも、宅録ナレーター案件は基本的に「動画とセット」でした。
言い方はアレですが、動画制作会社さんの下請けになってしまい、安く受注せざるを得ないものもあると感じるのです。
もちろん、適正価格で提携してくださる制作会社さんもいらっしゃいます!
デジタル音声広告なら動画は不要なので、その分、ナレーターへの報酬も多くなるのでは、と期待しています。
「適正価格」でナレーションを提供できる機会が増えれば嬉しいなと思います。
宅録ナレーションの地位を向上させたい
私個人としては、宅録ナレーションの地位をもう少し向上させたい、という想いがあります。
特にクラウドソーシングでは激安な案件が多く、安かろう悪かろう、という状態。
こういう条件しかないから応募するしかないよ…
ブラック企業と同じで、価格に見合わない内容でも、応募者がいるから成り立ってしまう。
宅録ナレーションを提供する会社も、納期の早さや金額の安さを全面にアピールするところが多くあります。(宅録ナレーターとは業務提携や登録制)
「宅録ナレーション=安い、早い」は確かにその通りですが、それはスタジオ収録と比較しての話。
一部では、ナレーションの価格と、求められるクオリティのバランスが崩れているのですよね。
宅録ナレーターとして価値を高めるアクション
宅録ナレーターは、機材など収録環境を整えて、これらの作業をマルチにこなしています。
- ナレーション
- 収録
- 音声編集(ノイズ除去など)
高い技術を持ちながら、安く買い叩かれるのは、非常に残念だなと思います。
これは素晴らしい技術を持ちながら、下請けしかできずに廃業していく、日本の町工場と近い状況なのではと。
一方、生き残っている町工場もあるので、そこからヒントを得ていきたいところ。
バーミキュラを作っている「愛知ドビー」もそうですよね!
(我が家も愛用してます!)
成功している町工場の特徴としては
- 高い技術力を活かしながら
- マーケティング目線を持ち
- ニーズのある形で商品にして
- しっかりと営業やPRを行った
あたりかなと思っています。
もう今の時代、「高い技術力」だけでは、生き残るのは難しいのですよね。
宅録ナレーションに付加価値をつける
自分のナレーションに付加価値をつけるアクションができたら、単価も上げられるはず。
いただいた原稿を読み上げるだけではなく、他の技術も組み合わせて、ニーズのあるサービスを作りあげるのもひとつです。
他の技術って、例えばなんだろう??
例えば、コピーライティングの知識ありきで、デジタル音声広告のシナリオを作れたら、重宝されますよね?
「ナレーションに関わる、つながる技術」を身につけると、一気に可能性は広がります。
苦手な方も多いですが、営業ができることも大切になってきますね。
ナレーションや演技で「人の心を動かす」
また、内容を読み上げるだけなら、自動生成の音声でも成り立つようになっています。
システムによる読み上げは、まだ若干の機械っぽさはありつつも、以前よりかなり自然になってきました。
え〜!じゃあ宅録ナレーションはなくなっちゃうんじゃないの??
単なる説明やアナウンスなら、宅録ナレーションの需要は減っていくかもしれません。
ただ、声の表現で心を動かすのは、やはり人間の声にしかできないのではないかなと。
特に広告は、人間ならではの心の揺らぎがあるからこそ、心に刺さると感じています。
また、
- 内容をしっかり理解して
- わかりやすく伝えられる
というのも、人間のナレーションならではです。
そういった表現力をしっかり高めていく努力も必要だなと思いますね。
デジタル音声広告に宅録ナレーターのチャンス!?急成長する音声配信まとめ
いかがでしたか?
デジタル音声広告、いわゆるオーディオアドは、日本ではまだまだ発展途上の業界。
YouTube広告の方がまだまだ断然、規模は大きいのですが、デジタル音声広告の今後の成長が楽しみですね。
誤解しないでいただきたいのですが、「動画広告は終わりだ」と言いたい訳ではないのです。
デジタル音声広告もあっていいし、動画広告もあっていいのです。
WEB広告も多様化しているので、「どの媒体を使うか?」選択する力が求められています。
- それぞれの役割
- 最新の傾向
- ターゲット層
- 予算 など
宅録ナレーターをするなら、「自分の声が使われる先」を知っていると役立ちます。
「なぜ、この商品は、この媒体で宣伝されているのか」理由を分析するのも面白いですよ。
「ナレーションの需要はどこにあるのか」考えるヒントにもなるかと思います。
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